世の男性は、ある日突然、父親になる
世の男性諸氏には、パートナー(既婚、未婚問わず)から妊娠を告げられる日が突然やってくるかと思います。
パートナーと同居していたとしても、(わたしは妊娠したかもしれないことを、あなたは感じ取らなくてはいけないのよ)と匂わせてくるパートナーは少ないのではないかと推測します。
男性が”その空気”を察していないだけかもしれませんが・・・。
そしてその時はやってくるのです。
一緒に夕飯を食べている時かもれませんし、一緒にテレビを見ている時かもしれませんが、パートナーは唐突に「わたし、妊娠したかも・・・」と教えてくれるのです。
その瞬間から、世の男性諸氏は父親になるのです。
その日は学会の帰り道だった
僕が父親になったのは、学会から飛行機で帰ってきた、ある晴れた日曜日でした。
空港に迎えに来てくれた妻君が帰路の車内で「ちょっと、話があるんだけど・・・」と切り出したではないですか。
このような切り口での会話の始まりは、後ろめたいことは何一つないと自負する英国紳士であっても、『我が人生に一点の悔いなし』と天に向かって拳を突き上げることができるラオウのような御仁でも、アタマはフル回転するはずです。
(ひょっとして、あれのこと!?)
(もしかして結婚前のあのこと!?)
(こっそり買った時計の値段がばれた!?)
たくさんの”!?”が頭の中を駆け巡るのが、「ちょっと、話があるんだけど・・・」と言われた時の男性諸氏のアタマの中なのではないかと思います(邪推)。
もちろん、そのような動揺を微塵も悟られてはいけません。
その時の僕も堂々とした態度で、まったく動揺をみせることなく(表面上)、「な、何?ど、ど、どうしたの?」とお返事申し上げましたところ、「妊娠したかもしれない」との一言で、僕も父親になったのです。
”実感”は遅れてやってくる
妻君の妊娠に、僕は素直に喜んでいました。
データは古いですが(平成12年)第一子を授かった時の男性の平均年齢は30.2歳です。僕はこの平均をがっつり押し上げていたので、単純素直に父親になることを嬉しく思っていました。
しかし、父親になった(なる)実感はもちろんまだありません。
女性は自分の体の変化が変化することからまさに身体的に実感しやすいかと思いますが、男性にはパートナーの発言という、耳からの音声情報しかありません。
これにプラスされて、妊娠検査キットの陽性反応を見ると視覚的にも裏付けされていくのでしょうが、如何せん、実感させてくれるパワーが弱い。
一緒に産婦人科に行って、エコーで確認したり、パートナーのお腹が少しずつ大きくなったり、つわりに苦しんだりする姿を目の当たりにするようになって、段々と父親になる実感は積み重ねられていくのだと思います。
内科医も父になる
もちろん、医学生の頃には産婦人科疾患だけではなく正常妊娠も勉強します。
しかし、卒業してからいく年月が経ったのでしょうか・・・思い出そうとしても、記憶のはるか彼方に行ってしまっている状態です。
毎日は専門領域の勉強と診療であっという間に過ぎ去っていきます(言い訳)。
優秀な医師は卒後も、専門領域ではなくなった他科の知識もしっかり記憶していますし、他科領域であっても日々アップデートしています。
そんな医師に憧れながら、僕は生活しているのですが、すでに母親らしいお顔をした妻君からは、
「つわりってなんであるの?」
「妊娠高血圧症ってなに?」
「妊娠糖尿病って怖い病気なの?」
と立て続けに質問が飛んできます。
(俺をなめるなよ。すぐに答えられるわい!)と思いはしますが、そこはアタマがくたびれている僕のこと、スラスラと最新の情報も交えて答えることはできません。
「ゆっくり一緒に勉強しようね」と建設的な提案をして僕も父親になる準備を始めたのです。
でわ、一緒に準備していきましょう。
参考
厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/index.html)
(ちなみに、第一子を授かった時の女性の平均年齢は平成30年の統計では30.7歳です)
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