【聴診中はお静かに】

Medicine

聴診器を胸に当てているのはパフォーマンスではありません

聴診器(『ステート』とも言います)は僕たちが患者情報を得る為に大切な道具です。

診察の際に、聴診器を胸に当てられた経験のある方は多いかと思います。または、学校検診の時に聴診された事を覚えているかと思います。

「はい、息を吸ってー、吐いてー。はい、もう一度」とか言われたことがあるかと思います。

何を聴いているのか、何をされているのか分からないことから、僕たちが聴診器を使用しているのを、”診察していることをアピールしているパフォーマンス”と捉えている方も、ひょっとしたらいるかもしれません。

聴診器からきこえる音(『肺雑音』や『心雑音』)の種類によって病気を推定したり、重症度を推測したりできることから、僕たちは聴診器を使用してきこえてくる音に神経を集中しているのです。

しっかりと聴診することによって、しっかりと診断できるのです。

決して、”診療していますアピール”ではなく”仕事してますパフォーマンス”でもありません。

聴診するのは正直しんどい

このように、聴診器は”集音器”であるので、患者さんがしゃべってしまうと”雑音のささやき”がきこえなくなってしまいます。

同時に、患者さんの話し声が僕たちの耳にしっかりと大音量で伝わってくるので、耳にダメージ受けてしまいます。

そうでなくても、内科系の外来では一日中聴診していることが多いで、午前中でもすでに耳が痛くなっています。

そんな状態でもあるので、聴診中に患者さんがしゃべってしまうと、正直「NO〜!、やめて〜!」と思ってもしまいます。

僕も人間だもの・・・。

また、聴診には時間がかかります。

雑音には呼吸する時にきこえるものとと心臓が動いている時にきこえるものがあります。

呼吸の雑音を聴く場合には、胸の一カ所に聴診器をあてて患者さんに呼吸を繰り返してもらって雑音の有無を確認します。そして、聴診器をずらして、また呼吸を繰り返してもらって雑音の有無を確認します。

このようなことを胸の左右の何カ所かで行って、背中にも聴診器をあてて同じように呼吸を繰り返しもらいます。

さらに、心雑の雑音を聴く際には心臓が収縮した時と、拡張した時のどちらのタイミングで雑音がきこえるのかを確認しなくてはいけません。なので、僕たちは聴診器を患者さんの胸に当てたまま動かずにじっと耳をすませています。

このようなことなことから、聴診には時間がかかるのです。

もし貴方の聴診時間が短かった場合は・・・。

もちろん、大丈夫であることが十分に把握できた上での”確認聴診”かもしれませんので、一概には言えません。たぶん・・・。

聴診で大事なのは、聴診器の真ん中

聴診器で肺雑音や心雑音を聴取して診断の一助にしているのですが、大切なのは聴診器を使用して聴取出来る雑音ではありません。

「ん?さっきと言っていることが違うのではないか?」と思われる方もいるかと思いますが、聴診で大切なのは、『聞こえた雑音が何の音なのか』です。

(空気を吸った時に、両方の胸から笛を吹くような様な音がする)(心臓が収縮したタイミングで、ザーザーという雑音がする)と雑音があることは聴取できたとしても、それが何の病気によって引き起こされた雑音なのか分からなければ診断には至りません。

せっかく、聴取出来た雑音も病気と結びつけられなければ、まさに”雑音”として聞き流されて終わってしまいます。

聴診器は両耳に挟めて使用しますが、診断するのはその両耳の間にある『アタマ(脳)』です。

医学知識がないまま聴診しても診断には至らないことから、僕たちは学生時代から知識を蓄えなくてはいけません。

なので、大学の講義の際には「聴診で大事なのはアイダ(間)だからな」と僕たちは教え込まれるのです。

聴診は、聴診器の真ん中にあるアタマが大事なのです。

まとめ

聴診器のアイダを鍛えるのは僕たちの勤めですが、患者さんには聴診に協力してもらう必要があります。

しっかりと雑音を聴かせてほしいので、聴診には少々お時間をいただきます。

最近の体調等を伝えてくれるのはありがたいのですが、聴診中はお控え下さい。聴診中はお静かに願います。

でわ、お大事に。

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